【短歌解説】自選五首編
こんにちは。冬野水槽です。
ようやく短歌の解説記事です。やっとか。
今回は、結構前Twitterに投稿した自選五首の解説をしていきたいと思います。
どの歌も短歌を始めて間もない頃に詠んだものですので、色々とお粗末なところもありますが、暖かい目で見ていただければ幸いです。
それでは本文です。
①
助手席がいいな酔うから
ハンドルを握る姿も横で見たいし
車に乗り込む恋人たちの、ちょっと素敵な会話のやりとりを切り取った一首です。
「後部座席は酔うから」という理由で助手席に座り、ついでにパートナーの横顔も堪能する。こういうちょっとした幸せのうた。
まあ全部想像なんですけどね。
彼女どころか免許もないので完全にフィクションです。
「助手席がいいな酔うから」というセリフは、私が母に車で迎えに来てもらった時に何気なく放った一言です。
でも母のことを想って詠んだ歌ではないです。
あくまでも日常でのセリフを引用したフィクション。
②終電に揺られて眠る晩だけは性善説を信じたくなる
実体験を基に詠んだ一首です。
私の家は大学から遠く、また終電の時間が早いので、飲み会の帰りとかは結構終電に乗って帰ることが多いんですよ。でもって時間はかかるし飲み会の後だから眠くなっちゃうしで、つい寝てしまうんですね。
まどろむ意識の中、自分のリュックを足に挟んで「財布とか盗まれませんように」って思いながら眠りにつく。
その時の感情を詠みあげた一首です。
結構初期の頃に作って投稿した歌なんですけど、なかなかの高評価を頂いたようで嬉しかったのを覚えています。共感性の高い歌は強い。
「性善説」という言葉の意味とか、なぜ「晩」という言葉をチョイスしたのかなど色々気になる点もなくはないですが、個人的には結構満足しています。
③あっけなく疎遠になった友達も僕と一緒の教室にいた
実体験を基にした一首です。
中学校の頃の思い出なんですが、小学校時代によく話していた友達とクラスや部活の影響で離れちゃって、そのまま疎遠になっちゃうことありませんでした?
私はなぜか中学の時コミュ障が発揮しちゃって、人付き合いが全然上手くいかなかったんですよね。小学校の頃も色々とあったけど、「子供だから」で見過ごされていただけなのかもしれない。
この歌も結構初期の作品ですね。初めて投稿したのもこれだったような。
郷愁がテーマとなっており、今でもこんな感じの方向性の歌を考えたりしています。割と私の作風や人間性を象徴している一首と言っても過言じゃないかもしれない。
④
ドナルドが出る瞬間が見たいねと
後ろの人と目が合うふたり
東京ディズニーランドのアトラクション、「ミッキーのフィルハーマジック」をテーマにした一首です。
このアトラクションは映像を鑑賞する、いわゆるシアタータイプのアトラクションなんですが、3Dメガネを掛けることで画面から物が飛び出す演出が楽しめるという特徴があります。
そして最後にドナルドダックが画面から飛び出して客席の後ろに突き刺さるという演出があり、これがこの作品の大きな特徴となっています。
ディズニーランドに来たカップル二人組は、このアトラクションに足を運びます。以前にも来ていたのか、最後にドナルドが飛び出る演出を知っていた二人は、そのドナルドが出る瞬間を見てみようとするわけです。
鑑賞中、クライマックスのシーンで誰よりも早く後ろを振り向いた二人は、後ろの席に座っていた人と目が合ってしまいました。
という一コマです。
「ディズニーランド」をテーマに詠んだ歌なのですが、ちょっと分かりにくかったように感じます。一方、着眼点自体は悪くないかなと自分では思っています。個人的にはまずまずの出来かと。
⑤
前よりも美味しくなった、そうかな
と切り分けられるワッフルの耳
こちらも同じく、東京ディズニーランドをテーマに詠んだ一首です。
ディズニーランドでは様々な食べ物が販売されており、ピザや和食、チュロスやワッフルなど、その種類は多岐にわたります。
その中にミッキーの顔の形をしたワッフルがあり、この作品はその「ミッキーワッフル」を題材にした一首です。
小腹がすいたのか、ミッキーワッフルを注文したカップルの二人。
二人でシェアして食べてみると、その味は以前より美味しくなっているような気が。
他愛もない会話をしつつ、お互いのためにワッフルを切り分ける穏やかな時間からの一コマです。
個人的には推敲の余地がかなりあると思っています。
会話の部分を鍵括弧で囲ってみたり、「ワッフルの耳」の前の空白に意味を持たせたりしたかったですね。
あと単純にわかりにくい。「ワッフルの耳」だけだと情報が限定的すぎて伝わらないですね。ディズニーランド連作とかに組み込んだら面白いかもしれませんが。やってみようかな
以上、自選五首の解説でした。
これからも解説記事を執筆する予定ですので、何卒よろしくお願いします。
今回はここまでとさせていただきます。
最後までご覧いただきありがとうございました。