ゼロになって

短歌と日記と趣味について

オススメの歌集【Part2】

Part1はこちら

fuyuno-suisou.hatenablog.com

 

冬野水槽です。
オススメの歌集、第二弾です。
前回同様、それぞれの中から私の好きな歌を一首ずつ引用していきます。

 

「実際に短歌を作ってみたい」

「知らない歌集を読んでみたい」

「冬野が影響を受けた歌集を知りたい」

みたいな方の参考になれれば幸いです。

ちなみに第一歌集が多いです。第一歌集編。

 

 

 

  • 岡野大嗣、『サイレンと犀』、書肆侃侃房、2014

 

  

発行所は「しょしかんかんぼう」と読みます。

前回紹介した『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』及び『たやすみなさい』の著者、岡野大嗣先生の第一歌集。
可愛らしいカラフルな表紙が特徴的で、収録された短歌も様々な雰囲気をまとっています。SNSやインターネットをテーマにしたものから、日常に宿る小さな幸せを詠んだものなどなど。

シンプルながらも鋭い切り口で生活の一コマを切り取った歌たちは、あなたの心に新たな窓をひらいてくれることでしょう。

 

母と目が初めて合ったそのときの心でみんな死ねますように/岡野大嗣

 

 

  • 木下龍也、『つむじ風、ここにあります』、書肆侃侃房、2013

 

 

前回紹介した『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』の著者、木下龍也先生の第一歌集。

どこか切なくシニカルな視点が特徴的で、「できない」ことや「死」などをテーマにした歌が多いと感じます。しかしただ暗いだけではなく、それらを爽やかかつ簡潔に表現する表現力には目を見張るものがあるでしょう。

どことなく「生きづらさ」「しんどさ」を感じている人におすすめの一冊です。

 

あの世から見える桜がどの桜より美しくありますように/木下龍也

 

 

  • 伊波真人、『ナイトフライト』、書肆侃侃房、2017

 

 

前回紹介した『青春迷宮』の著者、伊波真人先生の第一歌集。

光や夜をテーマにした歌が多く、全体を通して美しい雰囲気が漂っている一冊です。
日常的ながらも幻想的な一瞬を切り抜いた歌たちは、世界を俯瞰しているような感覚を味わわせてくれることでしょう。

 

きのうからつけっぱなしの電灯が夜のほとりで朝を見ている/伊波真人

 

 

  • 阿波野巧也、『ビギナーズラック』、左右社、2020

 

 

阿波野巧也(あわの たくや)先生の第一歌集です。

世界全体を抱擁しているような、全てを許容しているような視点が特徴的で、前回紹介した笹井宏之先生に似ているように思いました。(私はこういう雰囲気の作品を勝手に「感覚派」と呼んでいます。)

また本書の大きな特徴として、主体の過ごす時系列順に歌が収録されている、という点が挙げられます。つまり、ページをめくるごとに主体の人生を追体験できるという構成になっているのです。

ある意味、小説を読むような感覚で読むことのできる一冊といえるでしょう。

 

いつまでも解体工事のTSUTAYAの、ぼくもそのうちあなたを抱くよ/阿波野巧也

 

 

 

 

1990年に発売された穂村弘先生の第一歌集、『シンジケート』の新装版です。

現代短歌を代表する歌人の一人でもある穂村弘、その世界観や表現力が炸裂している一冊です。その独特な作風や着眼点は、きっとあなたに革命をもたらすでしょう。一読の価値あり。

 

「まだ好き?」とふいに尋ねる滑り台につもった雪の色をみつめて/穂村弘

 

 

今回はここまでです。
それでは、さようなら。