留年に対する所感
冬野水槽です。留年が確定しました。
ので色々と駄文を垂れ流していこうと思います。
思えば、小さな挫折が多い人生でした。
特に人間関係での失敗が多く、友達と衝突してしまったり、その反動で人と話せなくなってしまったりといったことがじわじわと溜まっていきました。
大学入って多少マシにはなって友達も増えたんですが、それでも恋愛というものが一度も成就しないままズルズルとキャンパスライフを過ごしていました。
そんな日々が続くなか、2019年の12月頃にちょいとばかし巨大な挫折を味わいまして、それを引き金に陰鬱とした気分が続くようになりました。
そして20年3月頃からコロナの影響が大きくなってきて、それも追い風となって病み病みDaysが始まりました。
特に影響が大きかったのは授業がオンラインになったこと!
それ自体はまだよかったんですが、前例のない事態ということで大学側も私もあたふたしちゃって全然単位取れませんでした。授業は90分に収まらないし課題はクソ多いし履修してた科目もクソ多いしで最悪でした。どんな時間割組んでたんだよ。
んで単位落としまくっちゃって、卒業要件単位が足りず今に至るってわけです。
親に学費出してもらってるんでマジで申し訳がねえ。事情は理解してもらえたけど。
さて、ここからが本題。
大学入ってすぐの頃、ネタで「留年しそう」とか言ってたんですが、その度に友達から「一緒に卒業しようよ」とか言われたんですよ。
意味わからなくないですか?
言葉としての意味はもちろん分かるんですが、どうも納得がいかない。
ぶっちゃけ一緒に卒業しようがなんだろうが、その程度で縁なんか切れないと思うんですよね。マジでその程度で縁切れなくないですか?
確かに私が留年した追加の半年やら一年間やらは同期の友達いなくて寂しいかもだけど、まあその分勉強に集中できるんじゃない?という希望的観測。
んで、私が昔から留年留年言ってたのは、ぶっちゃけ予防線のためだったんですよね。
他人に失望されないためってのもそうだけど、自分の中で覚悟を決めておきたいって意識があったので。
ということで留年です。親にはマジで申し訳ないと思ってる。
この場を借りてお詫び申し上げます。
飲み会がしたいだけの日々
冬野水槽です。
「飲み会がしたくてたまらん」ってだけの記事です。
飲み会をここ1年以上していない。
コロナが蔓延し始めた去年3月頃からほぼ全く外食にも居酒屋にも行けていないのである。
思えば私は、(特に部活の人達との)飲み会が開催された時はかなりの頻度で参加していた。自分から誘うこともままあった。
部活の先輩方がとても良い人で、酒の席で無理に飲まされることもなかった上、お会計も多めに払っていただけることが多かったのだ。俺自身そこそこ飲めるタイプだったというのもあり、飲み会も酒も大好きだった。
しかし、コロナの蔓延により事態は急変した。
部活は活動を禁止され、飲み会はおろか外出すらはばかられる日々が訪れた。
当然飲み会はできなくなってしまったし、先輩方は卒業してしまった。挙句の果てに、大好きなやきとりセンターも最寄り駅の店舗が潰れてしまった。かなしい。
ただ、この記事は「だからこうしよう/しないようにしよう」という注意喚起の記事でもなければ、ましてや「政治が悪い」などというプロパガンダの記事でもない。
単純に「飲み会のこういうところが好きだった」とダラダラ書き散らすだけの記事である。
だから情報的価値も、これを読むことによって得られる効果も無い。
ただただ私が飲み会で好きだったポイントを羅列するだけの記事である。
あ~飲み会したい。
大人数で飲み会した時特有の、「自然と少人数の班に分かれ、それぞれ別の話をしている状態」とか大好き。ある班は部員の印象や交友関係について語ってたり、またある班はしょうもない下ネタで盛り上がったりしていて、たまに他の班の人が様子を見に来るみたいなゴチャゴチャした状態。大好きです。
大人数での飲み会と言えば、その規模に比例して「会計係や注文係が損をする」っていう暗黙の了解あるよね。
みんなが好きな席ついて「何飲む?」とか「綺麗な店だね~」とかくっちゃべってる間に、いち早く注文を取りやすい席(≒通路に近い席)をとったり、靴を並べたり、「予約した○○です」とかあらかじめアポとったりしてくれてる人がいるわけでしょ?
その人って解散直前に一本締めとかしてくれたりして、なんとなく「色々とありがとね」とかフワッとした感謝だけされるだけ、ってパターンあるじゃないですか。あれってマジで損しかしてないし、参加者全員がもっと感謝すべきだったなって、今では思う。
私自身その立場になったことあるんで分かるんですけど、あれってマジでクッソ大変なんですよ。5~6人程度の会ならまだしも、10人以上が集まる会の幹事とか誇張抜きに損しかない。
例えば20人強でパーティルームを借りるとして、一般の参加者は幹事が提示した予算だけ持っていきゃなんとかなるんですよ。
でも幹事ってかなり考えること多くて、事前に予算を決めたり参加者の確認とったり入店前にアポとったり店までの道案内したり店内で荷物の整理したり最初の注文とったり最後に参加費徴収したり。
実際のところ飛び込み参加や欠席が絡んで人数が増減したり、遅刻者のために駅まで迎えに行ったり、小銭がない参加者におつり渡したりというイレギュラーが多々発生するので、常にアンテナ張ってないといけない。つらい。(単に私が不慣れだったからというのはあるかもしれない。)
「常にアンテナ張ってないといけない」というのは、言い換えれば「ゆっくり酒飲んでいられない」ということでもある。店側と客側の中間管理職みたいなもんだもん。そりゃ気遣うわ。「事前事後だけ頭回せる」っていう器用な人ならともかく、私は心労が絶えずろくに酔えなかった記憶がある。マジで最悪だった。
でもって、こういう役目を進んで引き受けてくれる人はだいたいろくに感謝もされず、陰ながら大活躍をして一日を終える。本当に報われないと思う。マジで感謝しかない。「幹事手当」とかいって給料出ても文句ないだろ。
それはそうと小規模の飲み会は考えることも少ないし、話題もまとまるので非常に好き。
コロナ前は大学の友達とよく飲み行ったりしてたんだけど、毎回違う話題や展開が楽しめて最高だったんですよね。
いくつか歳上の先輩と行って奢ってもらったり、同期と行ってくだらない話したり、特には恋愛話や猥談に発展したりとマジで飽きがこなかった。当然のことだけど、時や場所によってみんな違う話をしてくれるし、それがきっかけで苦手だった人と仲良くなったり、仲良い人の意外な一面を知れたりして人間関係が深まるのなんの。
結構部活の同期や先輩と飲みに行くことが多かったんだけど、みんな優しいし酒癖悪くないし、歳の差関係なくぶっちゃけた話ができる人たちが多くて非常に楽しかった。
ただ、後輩とはコロナのタイミングのせいでなかなか話せてないので心残りがある。後輩とどう接すればいいのか分からんまま引退してしまったな。後輩含めたグループで通話しながらスマブラやったりは何度もしたけど、それでも対面で直接飲みに行く機会が全然なくて残念。正直年下と話すの苦手だったので、大学生のうちに克服できればよかったな、とかなんとか。
同期と飲みに行って話したりはしたけど、割とメンバーが偏っていたので全員と仲良かったわけではなかったように思う。まあ私自身人付き合い苦手だし、そもそも全然話さずに引退した人もいるにはいるけどね。まあしゃーない。
全く残念じゃないと言えばウソになるけど、まあ私「友達百人できるかな党」の人ではないので。「興味ある人とだけ仲良くすればいいんじゃね党」の方だったので、ぶっちゃけそこまでって感じ。多分これを読んでくれている人たちとはめちゃめちゃ仲良いし仲良くしたいと思ってます。また飲み行きましょうね。
本当は「コロナ収まったら飲み行きたいな~」で〆ようと思ったんですが、なんか緊急事態宣言解除してるし、私のワクチン接種の日程も近いので2回目のワクチン打ったら飲み行ったりすると思います。感染症対策は徹底して、人数も4人くらいまでに留めておきたい。
最寄り駅のやきとりセンターが潰れてしまったので、新宿あたりの店舗に行ったりして偲ぶ会をしたいとなんとなく思っている次第です。
以上。
オススメの歌集【Part2】
Part1はこちら
冬野水槽です。
オススメの歌集、第二弾です。
前回同様、それぞれの中から私の好きな歌を一首ずつ引用していきます。
「実際に短歌を作ってみたい」
「知らない歌集を読んでみたい」
「冬野が影響を受けた歌集を知りたい」
みたいな方の参考になれれば幸いです。
ちなみに第一歌集が多いです。第一歌集編。
- 岡野大嗣、『サイレンと犀』、書肆侃侃房、2014
- 木下龍也、『つむじ風、ここにあります』、書肆侃侃房、2013
- 伊波真人、『ナイトフライト』、書肆侃侃房、2017
- 阿波野巧也、『ビギナーズラック』、左右社、2020
- 穂村弘、『シンジケート(新装版)』、講談社、2021
-
岡野大嗣、『サイレンと犀』、書肆侃侃房、2014
発行所は「しょしかんかんぼう」と読みます。
前回紹介した『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』及び『たやすみなさい』の著者、岡野大嗣先生の第一歌集。
可愛らしいカラフルな表紙が特徴的で、収録された短歌も様々な雰囲気をまとっています。SNSやインターネットをテーマにしたものから、日常に宿る小さな幸せを詠んだものなどなど。
シンプルながらも鋭い切り口で生活の一コマを切り取った歌たちは、あなたの心に新たな窓をひらいてくれることでしょう。
母と目が初めて合ったそのときの心でみんな死ねますように/岡野大嗣
-
木下龍也、『つむじ風、ここにあります』、書肆侃侃房、2013
前回紹介した『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』の著者、木下龍也先生の第一歌集。
どこか切なくシニカルな視点が特徴的で、「できない」ことや「死」などをテーマにした歌が多いと感じます。しかしただ暗いだけではなく、それらを爽やかかつ簡潔に表現する表現力には目を見張るものがあるでしょう。
どことなく「生きづらさ」「しんどさ」を感じている人におすすめの一冊です。
あの世から見える桜がどの桜より美しくありますように/木下龍也
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伊波真人、『ナイトフライト』、書肆侃侃房、2017
前回紹介した『青春迷宮』の著者、伊波真人先生の第一歌集。
光や夜をテーマにした歌が多く、全体を通して美しい雰囲気が漂っている一冊です。
日常的ながらも幻想的な一瞬を切り抜いた歌たちは、世界を俯瞰しているような感覚を味わわせてくれることでしょう。
きのうからつけっぱなしの電灯が夜のほとりで朝を見ている/伊波真人
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阿波野巧也、『ビギナーズラック』、左右社、2020
阿波野巧也(あわの たくや)先生の第一歌集です。
世界全体を抱擁しているような、全てを許容しているような視点が特徴的で、前回紹介した笹井宏之先生に似ているように思いました。(私はこういう雰囲気の作品を勝手に「感覚派」と呼んでいます。)
また本書の大きな特徴として、主体の過ごす時系列順に歌が収録されている、という点が挙げられます。つまり、ページをめくるごとに主体の人生を追体験できるという構成になっているのです。
ある意味、小説を読むような感覚で読むことのできる一冊といえるでしょう。
いつまでも解体工事のTSUTAYAの、ぼくもそのうちあなたを抱くよ/阿波野巧也
1990年に発売された穂村弘先生の第一歌集、『シンジケート』の新装版です。
現代短歌を代表する歌人の一人でもある穂村弘、その世界観や表現力が炸裂している一冊です。その独特な作風や着眼点は、きっとあなたに革命をもたらすでしょう。一読の価値あり。
「まだ好き?」とふいに尋ねる滑り台につもった雪の色をみつめて/穂村弘
今回はここまでです。
それでは、さようなら。
【日記】2021年8月9日
冬野水槽です。日記を書きます。
今日は歌集を読んだり、短歌を詠んだり、4時間くらいゲームやったりなどして過ごしていました。楽しかった。
やっぱりスランプはよく休んで歌集読んでりゃ治りますね。私の場合は、ですが。
スランプの原因がはっきりしていると解決も楽でいいわ。論理的思考最強!
今日出来上がった短歌は明日(8月10日)の18時に予約ツイートしておいたので、どうぞお楽しみに。
短歌と言えば、また読売歌壇に掲載していただきました。恐悦至極に存じます。
https://twitter.com/Fuyuno_Suisou/status/1424534448427606020?s=20
これからは投稿数を増やして、もっとたくさん掲載していただけるよう頑張りたいと思います。短歌楽しっ。タノシッピ川。
ところで、題詠が得意になってきたのでいちごつみとかにも手を出してみたいなってテンションになってきました。
めちゃめちゃ時間にルーズなので相手方に多大なご迷惑をおかけするかもしれませんが、それでも興味あるんで近いうちお声掛けするかもしれないです。
しかし、いちごつみってやったことないので作法とかマナーとか全然知らないんですよね。一度に一人ずつ相手にするのが普通なんでしょうか?私は一対一でやるつもり満々なんですけど、複数人相手にやるってなったら手が回らない状況になっちゃいそうで怖いっす。
あと、いちごつみってやりたい人に直談判していいものなんですかね?
DMで話持ちかけたいんですけど、そもそも私めちゃめちゃコミュ障なんで返信するの遅くなっちゃうし、雑談も下手なんで非常に不安要素が残る。こわい。
深夜のテンションで書きなぐったいちごつみへの不安と期待でした。
眠いんで日本語ガバガバかも。寝ます。
【日記】2021年8月6日
冬野水槽です。日記を書きます。
最近は散歩に行ったり、資格の勉強をしたり、短歌のスランプに陥ったりなどして過ごしております。いっつもスランプになってる気がする。
ちなみに今勉強してる資格は「MOS(Microsoft Office Specialist)」です。
これは簡単に言えば「Word、Excel、PowerPointを使いこなせる」っていうことを証明するマイクロソフト公認の資格です。
普段からWordとかExcelとか使ってはいるんですが、詳しい機能とかを把握しきれていないので勉強しておきたいんですよね。関数とかソートとかインデントとかよくわかってない。
将来デスクワークをやりたいので、就活の際に役に立てばいいかな、みたいな感じで勉強しています。正直しんどいけど。
んで、またスランプですわ。
正確に言えば、「短歌のことを考えるだけの体力・気力がない」「短歌に関する情報をインプット・アウトプットしていない」というだけだと思うんですが。
よって、よく寝て歌集を読むのが解決策。
今日は「サイレンと犀」と「ビギナーズラック」を読みながら寝ようと思います。明日あたり、また短歌を投稿できればいいな。
読売歌壇への投稿と笹井賞への応募を並行して行っているので、Twitterに短歌を上げられていないのがちょっと気がかり。
上手くできた歌は笹井賞へ、一般受けしそうな歌は歌壇へ、それ以外の歌はTwitterへ、という感じでやっているので、必然的に投稿頻度が下がってしまう。笹井賞への応募が済んだら改善すると思います。たぶん。
にしても、自分の作風がワンパターンのような気がして気になってしまう。
具体的に言えば、テーマが「失恋」「死」「郷愁」である点、二句切れが多い点、比喩表現を捻りすぎている点、など。
自分からしたら「またこのパターンか…」と思うことがちょいちょいあります。このままで良いのであろうか。個性と言えば個性なんだけどさ。
眠い上勢いでだらだら書いてるので日本語とかおかしいかもしれない。
眠気のせいなんでぜんぶ許してください。
寝ます
オススメの歌集
冬野水槽です。
今回はオススメの歌集を紹介します。
また、それぞれの中から私のお気に入りの歌を一首ずつ引用していきます。
「短歌って気になるけど何から読めばいいのかわからない」
「知らない歌集を読んでみたい」
「冬野が影響を受けた歌集を知りたい」
みたいな方の参考になれば幸いです。
ちなみに案件ではないです。
- 山田航編著、『桜前線開架宣言』、左右社、2015
- 伊波真人、丸紅茜、『青春迷宮』、KADOKAWA、2020
- 木下龍也、岡野大嗣、『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』、ナナロク社、2018
- 岡野大嗣、『たやすみなさい』、書肆侃侃房、2019
- 笹井宏之、『えーえんとくちから』、ちくま文庫、2019
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山田航編著、『桜前線開架宣言』、左右社、2015
万人にオススメできる一冊です。
現代歌人40名の作品がその作者のバックボーンと共に掲載されており、まさに「現代短歌ガイドブック」と呼ぶにふさわしい内容。
価格も2000円強と手ごろで、ボリュームを考えればむしろ安い。マジで。
この本をきっかけに、現代短歌の世界に踏み込んでみてはいかがでしょうか。
ぬばたまの夜のプールの水中で靴下を脱ぐ 童貞だった/しんくわ
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伊波真人、丸紅茜、『青春迷宮』、KADOKAWA、2020
「とりあえず一冊歌集が欲しい!」
「短歌ってよくわからないけど興味ある!」
って人におすすめの一冊です。
とある両片思いの高校生二人の物語を、短歌と絵で表現した作品です。
一番の特徴は、なんといっても挿絵がついていること!情景をイメージしやすい上、伊波真人先生のまっすぐな短歌の魅力を増幅しています。短歌が挿絵を、挿絵が短歌を引き立て合っている感じ。また短歌の表記にもいろいろと工夫が施されており、読んでいて飽きない作りになっています。大好き。
恋愛小説としても、画集としても楽しめる上、短歌まで読めちゃう!そして値段も1600円強と安い!なんてお得なのでしょう!
初めて歌集を買う人に胸を張ってオススメできる一冊です!
つい君をさがしてしまう日直の二文字の下の空白にさえ/伊波真人
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木下龍也、岡野大嗣、『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』、ナナロク社、2018
男子高校生二人の7日間を二人の歌人が短歌で描いた物語です。
大きな特徴は、ジャンルがミステリーであること、「7月1日(木)~7月7日(水)までの7日間」という日にちが明記されていることです。
短歌で描かれるミステリーというのは、なかなか馴染みがなく面白いのではないでしょうか。純粋に歌集としてのクオリティも高く、手に取りやすい一冊だと思います。
また、今年2021年はこの書籍内の曜日と現実の曜日が一致する年なんですよね。どっちも7月1日は木曜日。なかなか珍しいことなので、そういう意味でも一読の価値はあると思います。
体育館の窓が切り取る青空は外で見るより夏だったこと/岡野大嗣
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岡野大嗣、『たやすみなさい』、書肆侃侃房、2019
発行所は「しょしかんかんぼう」と読みます。
これは今まで紹介したものと違い、挿絵もストーリーもない、いわば一般的な”歌集”というやつです。
この本、まず装丁が綺麗!文字や星にホイル加工が施されており、角度によって様々な表情を見せてくれます。
内容としてはどこか幸せで、でもどこか切ないような日々を描いた歌が収録されています。ちょっとした幸福や悲哀の瞬間をやわらかく切り取ったような感じの歌が多いと感じました。
内容も装丁も素敵なこの本で、本棚を彩ってみてはいかがでしょうか。
アカウント名で呼び合う関係のまま海へ来て名前をはなす/岡野大嗣
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笹井宏之、『えーえんとくちから』、ちくま文庫、2019
えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力を下さい/笹井宏之
この一首から始まるのは、細やかで美しい笹井宏之ワールド。
日常的な視点はもちろん、世界を俯瞰しているような視点から詠まれた歌まで、様々なものの見方をしていく新鮮な一冊です。
抽象的な歌も多く、ことば自体の美しさをそのまま味わえることでしょう。
ちなみに、この本は私が初めて読んだ歌集です。
某先輩から頂いたもので、今でも何度も読み返しています。
短歌自体をほとんど知らなかった私にとって、この本は非常に啓発的でした。短歌の世界の奥深さはもちろん、日本語という言葉そのものの美しさを知れた一冊といっても過言ではないでしょう。
からっぽのうつわ みちているうつわ それから、その途中のうつわ/笹井宏之
今回はここまでです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
【2021年7月13日】短歌ができるまで
冬野水槽です。
今回は心の整理も兼ねて、私が短歌を一首つくるまでの過程を文字に起こしてみたいと思います。
自己満足ではありますが、要所要所で私が意識していることや改善点などを解説していきたいと思います。いつか短歌で行き詰まったり、成長してからその時と今(2021年7月13日時点)との違いを見返したりしたくなった時のために。
はじまりはじまり。
1.原案
①外出している時
②思い出に浸っている時
③とっさの思いつき
の3パターンが多いです。
今回はパターン①、外出時に思いついた情景から一首を生み出していこうと思います。
その時の情景がこちら。
夜、終バスを待っていた。烏龍茶をがぶ飲みしたら、蜘蛛の巣がオレンジ色の街灯に照らされて綺麗だった。
些細なことですが、空の「雲」ではなく虫の「蜘蛛」を見上げるという点が妙に印象に残りました。これを57577に落とし込んでいくわけですね。
ちなみにこういう情景は、最初から定型に落とし込まず散文で記録することが多いです。アイデアの種だけメモして、それを開花させるのがこの後の作業になります。
2.定型に落とし込む
ではこの情景を57577にしていきましょう。
私の場合、最初から完璧な一首を創るのではなく、まずは粗削りでも定型にして、それからゆっくり推敲していくのがやりやすいです。これは人によると思いますが。
そしてとりあえず形にしたのがこちら。
バス停で烏龍茶飲む街灯を背に輝いた蜘蛛を見上げて
とりあえず短歌にはなりました。
バス停で/烏龍茶飲む/街灯を/背に輝いた/蜘蛛を見上げて
で定型に収まってますね。
次は、この歌の改善点をピックアップしていく作業です。
3.改善点の羅列
ここでは気になる点、添削できる点を羅列していきます。
この歌ではこんな感じ。
・「烏龍茶飲む」での助詞の省略
・「街灯を背に」している主体が私なのか「蜘蛛」なのか分かりづらい
・同じく、「輝い」ている主体が分かりづらい。
・歌の焦点がぼやけている。メインは烏龍茶を飲む「私」なのか?「蜘蛛」なのか?「蜘蛛の巣」?「街灯」?「バス停」?
・情景が分かりづらい。夕方?夜?早朝?
こんなところでしょうか。
それでは改稿に移りたいと思います。
4.第二稿
ここでは先述した気になる点を基に、第二稿を形作っていくフェーズです。
ポイントは、
・主体の確定
・情景描写の強化
とりあえずこの二点を意識して詠んでみようと思います。
バス停を編む蜘蛛の巣と終バスを待つ俺を照らしている夜光
多少良くなったでしょうか。
文字数ですが、
バス停を/編む蜘蛛の巣と/終バスを/待つ俺を照ら/している夜光
と、定型ぴったりです。
さて、ここで気になる点です。
・「バス停」と「終バス」の重複
・街灯という要素が弱い?「夜光」=街灯と繋がりにくい?
・「街灯に蜘蛛の巣が照らされている」という情景が伝わりにくい?
・(個人的に句跨りはそんなに気にしていないのですが、芸術点的にはどうなんでしょう?気になるところです。)
オレンジ色の街灯が大好きなので、なんとか組み込めないか四苦八苦しています。
ちなみに私は一首スラスラと詠んでいくわけではなく、
「夜光」から「照ら/している夜光」、「俺を照ら/している夜光」…みたいな感じでパズルのように5音or7音にあてはめながら少しずつ形作っていく感じです。
実際めちゃめちゃ時間かかってます。
第三稿へ移ります。
5.第三稿
ポイントは
・オレンジ色の街灯(オレンジ/橙色/鼈甲色/蜜柑色)の描写
・「バス」の重複
とりあえず以上二点を意識していきます。
木下龍也先生の教えに則り、「困ったら語順の変更」をしていきます。
橙の夜光が照らす蜘蛛の巣を見上げる俺は終バスを待つ
文字数。
橙の/夜光が照らす/蜘蛛の巣を/見上げる俺は/終バスを待つ
ぴったりです。割と収まりも良いのではないでしょうか。
今の実力ではこんなところでしょうかね。これで完成としたいと思います。
6.短冊にする
気分が乗ってるうちに短冊にしちゃいましょう。
私は一首であればうたの短冊メーカー、
連作であればL版SSメーカーを使うことが多いです。
今回はうたの短冊メーカーを使っていきます。
コンセプトは「夜」「街灯」「橙色」などですので、これを基に作ります。
できあがったものがこちらになります。
以上で完成です。長かった。多分2~3時間はかかりました。
とはいえ、こうやって自分の思考や感覚を言語化しながら作る方が私には向いているような気がします。
もちろんこの一首を気に入らない人がいたり、改善の余地はあるかもしれませんが、現状の私の実力ということで流してください。
それでは、今回はここまでとさせていただきます。
最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
マジで長かった。